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伊東市地域の県入りヘキサ


 この地域には、県入りヘキサを持つ路線が r19 の一つしかない。 この路線上の県入りヘキサは更新日時点で 10 個あり、 葵区地域の r29 の 12 個に次いで、静岡県内で 2 番目に県入りヘキサが多い路線である。 r19 自体はより西の方まで伸びているが、県入りヘキサが存在するのは 伊豆スカイライン亀石峠 IC の東側だけであり、それより西側には通常のヘキサしか存在しない。

 さて、この路線には、他のどの路線も持っていない、とても興味深い特徴がある。 それは、元々は通常タイプだったのに、更新後に県入りとなったヘキサが存在する、ということである。 つまり、この路線は静岡県内で唯一、過去と比べて県入りヘキサが増加している路線なのだ。 おまけに、元々県入りで更新後も県入りであるヘキサ、 元々県入りだったが後に通常タイプに更新されたヘキサも存在するというカオスっぷりだ (県入り→県入りというパターンは、富士宮地域の r176 にも存在する)。

 では、より具体的に見てみよう。 上記の地図には A ~ K の計 11 個のピンが立てられているが、 更新前後で通常 / 県入りのどちらだったかに注目してこれらを振り分けると、以下のようになる:

通常 → 県入り 県入り → 県入り 県入り → 通常
B, C, F, H, i, J A, E, G, K D
 加えて、各パターンがどのタイミングで更新されていったのかを、ストリートビューの情報を元に、 以下のような簡単な年表にまとめてみた:
 水色の実線は県入りヘキサである期間、灰色の点線は通常ヘキサである期間、 波線は標識の更新が行われたと思われる期間を表す。 大まかな流れとしては、まず 2020 年 2 月までは県入りヘキサが5個あり、 2020 年 2 月~ 2021 年 6 月の間にそこから1個減って4個となり、 2021 年 6 月~ 2021 年 12 月の間に6個増えて 10 個となった、ということになる。 このように、ただ単に増加したというわけではなく、 一旦減少したかと思えばなぜかその後一気に倍増しているという、 とても個性的な変遷を遂げていることが分かる。

では次に、各地点のヘキサの更新前後の様子について、上記3パターンに分けながら見ていく。

通常 → 県入りパターン

19-B @ 2021年6月 19-B @ 2022年12月 19-C @ 2021年6月 19-C @ 2022年12月
静岡県道19号 伊東大仁線 B地点(2022年12月撮影) 静岡県道19号 伊東大仁線 C地点(2022年12月撮影)
19-F @ 2021年6月 19-F @ 2022年2月 19-H @ 2021年6月 19-H @ 2022年12月
静岡県道19号 伊東大仁線 F地点(2022年2月撮影) 静岡県道19号 伊東大仁線 H地点(2022年12月撮影)
19-i @ 2021年6月 19-i @ 2022年12月 19-J @ 2021年6月 19-J @ 2022年12月
静岡県道19号 伊東大仁線 i地点(2022年12月撮影) 静岡県道19号 伊東大仁線 J地点(2022年12月撮影)

県入り → 県入りパターン

19-A @ 2020年9月 19-A @ 2022年2月 19-E @ 2021年6月 19-E @ 2022年12月
静岡県道19号 伊東大仁線 A地点(2020年9月撮影) 静岡県道19号 伊東大仁線 A地点(2022年2月撮影) 静岡県道19号 伊東大仁線 E地点(2022年12月撮影)
19-G @ 2021年6月 19-G @ 2022年2月 19-K @ 2021年6月 19-K @ 2022年12月
静岡県道19号 伊東大仁線 G地点(2022年2月撮影) 静岡県道19号 伊東大仁線 K地点(2020年9月撮影) 静岡県道19号 伊東大仁線 K地点(2022年2月撮影)

県入り → 通常パターン

19-D @ 2017年12月 19-D @ 2022年2月
静岡県道19号 伊東大仁線 D地点(2017年12月撮影) 静岡県道19号 伊東大仁線 K地点(2022年2月撮影)
 ※ 上記に掲載している E, F, G, H, i, J 地点の県入りヘキサの画像について、 画像をクリックしていただくとお分かりいただけるかと思うが、歩道が設置されておらず、 標識の近くで立ち止まって撮影するのが困難な場所に設置されている。 そこで、ヘルメットにアクションカメラを取り付けた状態でバイクに乗って動画を撮影し、 映像データからフレームを抜き出したものを掲載した。 その影響で画像の解像度が低くなってしまっている点はご了承いただきたい。


 上記に掲載した更新後の県入りヘキサを見ていただくと分かるように、 視認性の高い素材が使われていてとてもきれいな状態であることが分かる。 また、本標識だけでなく補助標識の方も新しいものに交換されていると思われる。 デザインに注目すると、更新後の県入りヘキサは、どの地点でも文字の位置等も含めて完全に同じものになっていそうだ。 更新前のものと比べてヘキサの白い外枠が若干太くなっている点も特徴的である。

 さて、この路線の大きな特徴である、県入りヘキサが一旦減ってその後増加に転じたという点について、 なぜこのようなことが起こったのかを考えてみることにする (正直、核心に迫るような手がかりも無いので、あくまで完全に想像で書いていることについてはご了承いただきたい)。

 まず、県入りヘキサが増加するよりも前に、1 個だけ県入りヘキサが通常ヘキサに交換されているという点に注目したい。 上記の画像のうち、更新前の県入りヘキサを見ていただくと分かるように、 いくつかは塗装が剥げてきてしまっていることが分かる。 これを受けて、そろそろ標識を新品に交換するべきだ、という考えが設置者に生まれたものと思われる。 このとき、設置者の手元(在庫)に、新品の通常ヘキサが 1 個だけ余っていたのではないかと想像する。 上記の画像から推察すると、その時点で標識の劣化が特に大きかったのは A, D, K 地点のものと考えられる。 そして、その中の一つを在庫の新品通常ヘキサに交換することにしよう、という意思決定がなされ、 その結果、D 地点の県入りヘキサは通常ヘキサに更新されたのではないか。
 ここで、在庫の新品のヘキサが底を尽き、新たに標識を製造する必要が出てくるわけだが、 何を思ったのか、設置者は県入りヘキサのデザインで製造元に発注をかけた。 それも、まとまった数で発注をかけた方がコストが抑えられるということで、 亀石峠 IC 以東のヘキサのうち、既に更新している D 地点以外の全て、計 10 個分の発注だ。 その結果、既存の通常ヘキサもろとも、新品の県入りヘキサへと生まれ変わり、 県入りヘキサの個数が大幅に増加することになった。

 ・・・といったストーリーを思い描いてみた。 無理があるところもあったかと思うが、筆者の想像力ではこの程度が限界であった。 結局のところ真実は分からないままではあるが、 こうした標識の移り変わりの情報を元に、なぜそうなったのかと思いを巡らしてみるというのも、 道路標識の面白がり方の一つであろうと思う。 これをご覧になっている読者の方は、この r19 の県入りヘキサの変遷に対して どのような背景があったと思われるだろうか。 ご自身でストーリーを考えてみたりしたら、ひょっとしたら楽しめるかもしれない。
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