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富士市・富士宮市地域の県入りヘキサ


 この地域には現在、県入りヘキサを持つ路線が r10, r25, r53, r174, r176, r341 の計六本存在する。 路線の数でいうと、他の地域と比べて明らかに多いのが特徴である。 静岡県内で県入りヘキサが存在する路線は合わせて 12 本なので、そのうち半分がこの富士市・富士宮市地域に属していることになる。 この 6 本の路線のうち、筆者が特に面白いと思うのは r10 と r176 の県入りヘキサである。 先に、この 2 路線の県入りヘキサについて詳しくみてみよう。

r10 富士川身延線

静岡県道・山梨県道10号富士川身延線(2022年2月撮影) 静岡県道・山梨県道10号富士川身延線(2018年6月撮影) 静岡県道・山梨県道10号富士川身延線(2022年2月撮影) 静岡県道・山梨県道10号富士川身延線(2018年6月撮影) 静岡県道・山梨県道10号富士川身延線(2022年2月撮影) 静岡県道・山梨県道10号富士川身延線(2018年6月撮影) 静岡県道・山梨県道10号富士川身延線(2022年2月撮影)
 早速だが、r10 の県入りヘキサを左に示す。 クリックするとその場で拡大表示され、左右ボタンで周辺風景などが見られる。

 r10 で存在が確認されている県入りヘキサはこの 1 個のみである。 1 個のみではあるのだが、他の県入りヘキサにはない唯一の特徴を持っている。 それは、他路線の通常ヘキサと団子になっていることである (ここでいう "団子" とは、複数の本標識が同じポールに同じ方向に向かって設置されていることを指す)。
 県道や国道は日本全国網の目のように張り巡らされているが、複数の県道・国道が同じ道を通っているケースがしばしば見られる。 そのような道を「重複区間」、または「重用区間」といい、そこにヘキサ・おにぎりを設置する際は、 その区間を通る県国道の番号標識の団子構成となることが多い。 逆に、重複していない区間においては、当然ながら単独で設置されることになる。
 さて、実は静岡県内で発見されている県入りヘキサのうち、重複区間に設置されているのはこの r10 のみなのだ。 実際、他の路線の県入りヘキサの項目で掲載しているように、r10 以外の県入りヘキサはいずれも単独で設置されている。 また、左の写真をご覧いただくと、当該の県入りヘキサはr75との重複区間に設置されているものだと分かる。 ちなみに、全長約 36.4km ある r10 のうち、r75 と重複しているのはわずか 1km 程度だ。 もし、r10 県入りヘキサの設置場所が少しでもずれていれば、このような光景は見られなかったかもしれない。
 そして、なぜか r10 だけが県入りヘキサで r75 は通常ヘキサという非対称性も面白いところだ。 推測ではあるが、r10 は静岡と山梨の二県に跨っているのに対し、r75 は静岡のみということもあって、 もしかしたら r10 と r75 とで設置者が異なっているのかも分からない。

というわけで、他路線と組み合わせて「県入り+通常」となる団子構成は、 静岡ではほぼ間違いなく唯一といえるくらい、大変貴重なものなのだ。 (なお、現在筆者が把握している他県の県入りヘキサについても同様で、いずれも単独区間で発見されている。 よって、全国規模で見てもここだけにしか存在しない可能性も十分考えられる。)
 他にも注目したい点がいくつかある。 例えばフォントに注目してみよう。漢字・数字ともに上下で異なっていることが分かる。 フォントの新旧から推察すると、r75 の通常ヘキサのほうが、r10 の県入りヘキサよりも製造時期が新しいと思われる。 こうして新旧のヘキサを一目で見比べられるというのも中々面白い。 ちなみにストリートビューを見ると、2012 年 6 月の時点で現在と同じ設置状況であったようだ。 それ以前はどのように設置されていてどのような経緯でこうなったのか、今となっては知り得ないが気になるところではある。

 フォント以外でいうと、補助標識にも注目したい。 件のヘキサの補助標識は「路線名+地名」&「重複区間」という組み合わせになっている。 重複区間においてヘキサの補助標識をどのように設置するかは地域によって傾向が異なるが、 静岡においては、ヘキサを団子にした上で片方は路線名+地名、もう片方は路線名のみの補助標識を併設するのが一般的であり、 「重複区間」と表記された補助標識が使われるケースは少数派である。 そういった意味でも、このヘキサのレア度は高いといえよう。
 ところで、左の地図は r10 県入りヘキサがある場所付近を拡大したものだが、 新内房橋の東側に位置する新内房橋交差点にも r10, r75 が団子になったヘキサが存在している。 そして不思議なことに、こちらの r10 は通常のヘキサになっている(右の写真)。 フォントや補助標識は全く同じなのに、"県" が入っているかどうかだけが異なっているのだ。 ここまで設置方法が似ていて至近距離にあるのに、なぜ方や県入りヘキサ、方や通常ヘキサという違いが存在しているのだろうか? r75 のヘキサがそうなっているように、どちらかのフォーマットで揃えて設置する、というのが自然であると思うのだが・・・。 謎はますます深まるばかりである。
静岡県道・山梨県道10号富士川身延線(2022年2月撮影)
 というわけで、r10 県入りヘキサの推しポイントを一通り書かせていただいた。 この面白さ・不思議さは他の県入りヘキサでは味わえない唯一無二のものであるといっても過言ではないだろう。

r176 鷹岡柚木線

 次に、r176 の県入りヘキサを紹介しよう。 r176 には 2019 年 8 月現在合わせて 4 個の県入りヘキサが設置されている。 この数は、静岡県内では r29 に次いで二番目に多い。 以下に r176 の県入りヘキサの写真を示す。
176-A 176-B 176-C 176-E
静岡県道176号 鷹岡柚木線 A地点(2019年2月撮影) 静岡県道176号 鷹岡柚木線 B地点(2019年8月撮影) 静岡県道176号 鷹岡柚木線 C地点(2019年8月撮影) 静岡県道176号 鷹岡柚木線 E地点(2019年8月撮影)
 これらの写真を見比べていただくと、176-A と 176-E が 176-B, 176-C より状態が良いことが分かる (以下、この項目内では "176-" の部分を省略する)。 なぜ状態が良いかというと、残り二つのものと違い、最近新しいものに交換されたからだ。 以下に、ストリートビューから拝借した、-A と -E の更新前後の写真を掲載する (-E の方は、更新直前の 2015 年 2 月時点では塗装が剥げていて県入りかどうかが分かりづらいので、2012 年 6 月時点のものも載せた)。
176-A @ 2015年2月 176-A @ 2017年3月 176-E @ 2012年6月 176-E @ 2015年2月 176-E @ 2017年3月
 というわけで、-A と -E は元々県入りで更新後も県入り、というパターンであるわけだが、 実は、「県入り→県入り」というパターンは、「県入り→通常」と比べて圧倒的に少数派なのだ。 実際、藤枝市地域の県入りヘキサや 後述する r341 で見られるように、少なくとも静岡県内では、 県入りヘキサが更新されると通常ヘキサに置き換えられるというパターンが一般的である。 そういう意味で、-A と -E はレアなケースであるといえる。 ちなみに、同じ r176 であるにもかかわらず、 本ページ冒頭の地図で示している (176-D), (176-F) は県入りヘキサから通常ヘキサに置き換えられている。 参考までに、ストリートビューから拝借した、-D, -F の県入りヘキサから通常ヘキサに更新される前後の写真を以下に掲載する。
(176-D) @ 2015年2月 (176-D) @ 2017年12月 (176-F) @ 2018年2月 (176-F) @ 2019年5月
 このように r176 はどういう訳か、県入りヘキサの更新後が県入りのままのものと、 通常ヘキサに置き換えられるものが混在しているという、 静岡の県入りヘキサ持ち路線 12 本の中でも珍しい特徴を持っており、実に興味深い (実は、これと同じ特徴を 伊東市地域の r19  も持っている)。 そして、-B と -C はストリートビューで確認できる範囲では 少なくとも、-B は 2012 年 5 月から、-C は 2012 年 6 月から 2019 年 8 月現在に至るまでそれぞれ県入りであるが、 いずれ来るであろう更新の後、継続して県入りヘキサのままなのか、はたまた通常ヘキサに置き換えられるのか・・・。 今後の動向にもぜひ注目したいところだ。

 ではここからは、残り 4 路線の県入りヘキサを紹介していこう。 始めに、それらの写真をまとめて以下に掲載する。
25 53 174-A 174-D 341-A
静岡県道25号 富士宮芝川線(2022年2月撮影) 静岡県道25号 富士宮芝川線(2018年6月撮影) 静岡県道25号 富士宮芝川線(2022年2月撮影) 静岡県道25号 富士宮芝川線(2018年6月撮影) 静岡県道53号 富士宮停車場線(2022年2月撮影) 静岡県道53号 富士宮停車場線(2019年2月撮影) 静岡県道53号 富士宮停車場線(2022年2月撮影) 静岡県道53号 富士宮停車場線(2019年2月撮影) 静岡県道53号 富士宮停車場線(2022年2月撮影) 静岡県道174号 富士停車場線 A地点(2015年5月撮影) 静岡県道174号 富士停車場線 D地点(2020年9月撮影) 静岡県道341号 水神田子浦港線 A地点(2019年2月撮影) 静岡県道341号 水神田子浦港線 A地点(2022年2月撮影) 静岡県道341号 水神田子浦港線 A地点(2019年2月撮影) 静岡県道341号 水神田子浦港線 A地点(2022年2月撮影)

r25 富士宮芝川線

静岡県道25号 富士宮芝川線(2022年2月撮影) 静岡県道25号 富士宮芝川線(2018年6月撮影) 静岡県道25号 富士宮芝川線(2022年2月撮影) 静岡県道25号 富士宮芝川線(2018年6月撮影)
 r25 は総延長約 6.6km の県道で、静岡の多くの県道と同様に、数 km おきにヘキサが設置されている。 そのヘキサのうち、県入りとなっているものはこの一つだけと思われる。 また、この県入りヘキサは r25 のヘキサの中で、最も r25 の起点側に近い。
 r25 の県入りヘキサの特徴としては、フォントが古いということと、設置の仕方がやや不格好(?)なことくらいだろうか。 フォントに関しては静岡市葵区地域の r189 県入りヘキサのところでも話したが、 r25 県入りヘキサのフォントが現代に製造される標識のフォントとは異なっており、 したがって、これの製造時期は昭和 40 年代以前ではないかと考えられる。 そして設置の仕方についてだが、本標識が直接接続されているポールが、本標識上部に大きくはみ出ており、 また、本標識と補助標識の間に不自然な隙間が生まれている。 その結果、他のヘキサを見比べると少々不格好な見た目になってしまっている。
 ※ 余談:このような状態になっている経緯として、 元々は自然な位置に設置されていたが徐々に "ずり下がって" しまったのではないか、と筆者は予想している。 右の写真は、r25 県入りヘキサを裏側から撮影したものである。 標識と支柱を固定している金具が、左右の支柱同士を接続する金具のすぐ上に位置していることが分かる。 これを見て筆者は、設置したばかりの頃は自然な位置だったのに、標識と支柱の固定が甘かったがために、 風などの振動によって少しずつ標識がずり下がり、結果的に今の状況になったのではないか、というストーリーを思い描いた。 もちろん、何らかの裏付けがあるわけでもない単なる予想なので、的外れである可能性は大いにある。 その点はご了承いただきたい。

r53 富士宮停車場線

静岡県道53号 富士宮停車場線(2022年2月撮影) 静岡県道53号 富士宮停車場線(2019年2月撮影) 静岡県道53号 富士宮停車場線(2022年2月撮影) 静岡県道53号 富士宮停車場線(2019年2月撮影) 静岡県道53号 富士宮停車場線(2022年2月撮影)
 r53 は総延長が約 0.3km しかない短い県道だ。 そして、この県道にはヘキサが一つしか設置されていない。 つまり、r53 は静岡県の県道で唯一、県入りヘキサは存在するのに通常ヘキサは存在しない県道なのだ。 また、ヘキサに使われているフォントの古さからして、昭和 40 年代以前に製造されたものと思われる。 路線名の通り、こちらの県入りヘキサは JR 富士宮駅の目の前にあり、人の目に付くことも多いと思われるが、 幸運なことに(?)、今日に至るまで長きにわたり更新を免れているようだ。

r174 富士停車場線

静岡県道174号 富士停車場線 A地点(2015年5月撮影) 静岡県道174号 富士停車場線 A地点(2015年5月撮影) 静岡県道174号 富士停車場線 D地点(2020年9月撮影) 静岡県道174号 富士停車場線 D地点(2020年9月撮影)
 r174 は総延長約 2.8km の、JR 富士駅と国道 1 号線を結ぶ県道である。 現在、この県道で県入りになっているヘキサは二つであり、それぞれ起点・終点に最も近いものに相当する。 かつてはもう二つ県入りヘキサが存在していたが、-B は通常ヘキサに置き換えられており、-C に至っては 標識そのものが撤去されてしまっている(下に掲載した、ストリートビューから拝借した写真を参照のこと)。 現存している二つの県入りヘキサは、共にフォントが新しいものになっている。-D は 車両に当てられた痕跡が見られるが、-A の方は富士市・富士宮市地域の、 フォントが新しい県入りヘキサの中ではだいぶ良好な状態だ。
(174-B) @ 2017年3月 (174-B) @ 2018年2月 (174-C) @ 2012年5月 (174-C) @ 2015年2月

r341 水神田子浦港線

静岡県道341号 水神田子浦港線 A地点(2019年2月撮影) 静岡県道341号 水神田子浦港線 A地点(2022年2月撮影) 静岡県道341号 水神田子浦港線 A地点(2019年2月撮影) 静岡県道341号 水神田子浦港線 A地点(2022年2月撮影)
 r341 は総延長約 8.0km の県道である。 この県道には元々県入りヘキサが少なくとも 5 個存在していた。 5 個というと、r176 の県入りヘキサが一番多かったときの個数( 6 個)に匹敵する中々の規模であるが、 現在ではそのうち 4 個が通常ヘキサに置き換えられ、県入りヘキサは 1 個残すのみである。 しかもその 1 個も、2022年2月現在の時点で、ドライバー目線ではもはや何の標識なのか分からないくらい塗装が剥げているという有様だ。 いつ通常ヘキサに更新されてもおかしくはないだろう。 もしかしたら、今後数年経たないうちに最後の 1 個も通常ヘキサに置き換えられて、r341 上の 県入りヘキサが全滅してしまうのかもしれない。

 ところで、r176 では更新されても県入りヘキサのままというケースが存在してたが、 この r341 に関しては、確認されている範囲では、更新後はすべて通常ヘキサである。 同じ富士市・富士宮市地域でも、路線によってこのあたりの傾向が異なっているのも興味深い。 下に掲載した、ストリートビューから拝借した -B ~ -E の写真を掲載する。 なお、幸いなことに、(341-C) だけは県入りだった頃に撮影することができたため、 そこだけ自前の写真を載せている。
(341-B) @ 2012年5月 (341-B) @ 2017年3月 (341-C) @ 2019年2月 (341-C) @ 2019年5月
静岡県道341号 水神田子浦港線 C地点(2019年2月撮影)
(341-D) @ 2017年12月 (341-D) @ 2019年5月 (341-E) @ 2015年2月 (341-E) @ 2017年3月
 ※ 補足:上に掲載している (341-B) の 2012 年 5 月の写真では、 塗装が剥げすぎてて本当に県入りヘキサだったかが分かりづらい。 ネットでこの県道について調べていたところ、ニコニコ動画に r341 の 2009 年頃の車載動画 が上がっており、こちらの動画の 9 分 13 秒前後に当時の (341-B) が映っていることが分かった。 塗装の状況が 2012 年頃よりも多少ましで、県入りヘキサであることが(なんとか)確認できる。
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